aikokimura’s diary

私は鍼師で視覚障害を持っております

たび「イタリア⑦カターニアの物理療法学校」1990

カターニャの物理療法学校に招かれて、驚く事ばかりでした。まず私を迎える式典がありました。
校長先生、主任の先生のご挨拶があり、次に50名程の学生さんの中から、代表の方の心温まる言葉。たぶん、遠い日本から来て頂いて嬉しい事、日本の按摩や鍼を知る事ができて嬉しい事などを、話して下さったように覚えています。

私は早速、日本の按摩とヨーロッパのマッサージの違いを話しました。
ヨーロッパのマッサージは直接皮膚にオイルを塗り、筋肉に沿って、心臓に向かって行います。
日本按摩は衣服(浴衣など)を着たまま、オイルは使わず、経路に沿って、心臓から離れる方向に向かって行います。

まず3人の学生さんにベッドで伏臥位になってもらい、実際に日本按摩の触診の仕方や、脈診の仕方を学生さん達に直接教えていきました。

次に日本の鍼の種類について、材質は金、銀、ステンレスの3種ある事や、鍼の太さが注射針よりもずっと細く、直径0・20ミリメートル以下がよく使われる事などを話し、その細い鍼そのものを学生さんに一緒に触ってもらいながら、2名の先生方の治療も兼ねて、腰痛、糖尿病の鍼治療をさせて頂きました。

そして、日本でよく使っている様々な種類の鍼を、鍼屋さんでガラスの額にセットして頂いた物を、学校へプレゼントしました。


あくる日は、ちょうど遠足の日で、私も参加して下さいと言われ、貸切バスの前列に座らせて頂き、シラクーサ(ギリシャ神殿跡で、夏にはオペラが野外で演奏されるところ)に連れて行って頂きました。

帰りのバスで、糖尿病の先生が頭痛でつらいと言われ、鍼を希望されました。私はドイツで揺れるバスの中での鍼を経験していましたので、お断りせずにやらせて頂きました。

それでも、そうとうバスが揺れましたが、ツボの位置がずれてしまうのをしっかり押さえ、足のツボと手のツボ、頸の後ろと方の上に鍼をやらせて頂きましたところ「良くなった」と先生は睡眠をとられ、まったく元気にバスを降りられました。

こんなところでお役に立てるとは、経験の大切さを知った私でした。


三日目の昼間に、私は、校長先生から、感謝の額(イタリアの金で文字が書かれている物)とシチリアのナイトの大きなお人形を、私が勤めている学校と、私個人にも頂きました。貴重な額は、今も木村治療院に飾ってあります。

エトナさいとうが、カターニャの物理学校を卒業してからの事は、前述しました。
彼女は、すでにイタリア人です、明るくて意思もはっきりしています。ユーロになり、イタリアが貧しくならなければ、今もきっとエトナ山中腹の村、ニコロージで開業していた事でしょう。現在は日本に帰って、オルガンの趣味に時間をさいているようです。

いつかまた、エトナはイタリアに帰って活躍する時が来ると、私は信じています。