aikokimura’s diary

私は鍼師で視覚障害を持っております

たび「中国研修旅行②」1988

次に研修したのは、天安門事件の前の年でした。
北京の鉄路病院で1週間、平井先生のご援助もあって、また衛生局招きで研修する事ができました。
事前に履歴書はもちろんの事、研究歴、学会名なども詳しく記載し、どのような事を研修したいか800字位にまとめた書類を中国に送りました。数か月後、中国衛生局から許可が下りた事は嬉しかったです。

1週間の滞在中、ホテルから病院を毎日往復2回、フォルクスワーゲンの黒塗りの車が、私とボランティアさんを迎えに来て下さいました。
たまたま日本の総理大臣が北京にいらしていて、ボランティアさんが「日本の国旗がないだけ、あとはまったく同じ車よ」と説明してくれた事を覚えています。
病院側の命令で「食事は必ずホテルで取って下さい、病院は衛生的ではありませんから」と通訳された時はびっくりしました。

研修では毎日、治療の様子をビデオに撮らせてもらいました。
私に付いて下さった女性の医師は熱心に教えて下さり、四日目には、中国の鍼で眼の治療も上手にできるようになりました。
帰国後、担任のクラスにビデオを見せたところ、「先生はずいぶん鍼が荒っぽくなったねえ」と生徒に評価されました。大陸に伝わってきた大技も、身に付けて来られたようです。

私の担当の女医さんは胆石の研究者で、尿から抽出し、シャーレに保管した30人分以上の胆石を、私に触らせてくださいました。
砂のような、小石のような、黒砂糖の塊のような石、砂粒から10ミリメートル以上の大きさの石になっていました。色も緑、黒、白と様々でした。本当に良い経験をさせて頂きました。

中国の病院では、検査(血液、尿、X線MRI、エコー等)までは、病院に来た全員の患者様に行い、その後、東洋医学治療、西洋医学治療を受けるかは患者様の希望で選べます。私は東洋医学の研修をさせて頂いた事になります。
日本の医療も早く患者様が、病気によって東洋、現代、予防医学を選べる日が来ると良いと思っています。

この研修中には、中国側から私に要望がありました。
「日本の鍼を行ってください」という事で、急遽、病院の中医の先生方と政府の方の前で約1時間、日本の鍼について話をし、肩こりの鍼治療を座位で中医の先生にやらせて頂きました。
先生は「こんな細い鍼でも響きを感じる、浅くても細くても効果があれば良い」と言って下さいました。

教えて下さった担当の先生も、病院長も、通訳の先生も私にとって大切な恩人です。