aikokimura’s diary

私は鍼師で視覚障害を持っております

たび「イギリス研修旅行」1986・1995

イギリスには何度も研修旅行に行っています。

1986年頃、当時大学の研究生だった同僚の英語の先生が、ケンブリッジ・クイーンズカレッジに2年間留学していた時に「来ない?」と誘って下さり、彼女は鍼を行っているクリニックを一生懸命に探して、さらにブリニッジ・アキュパンクチャーカレッジ(医師が1年間で鍼の実技と鍼に関する生理学を習い、単位を得る学校)での研修ができるように計画して下さいました。

 

9時間時差のあるイギリスとの電話はとても大変で、日本の朝6時に必ず電話をしないと留学している彼女はつかまりません。私は学校に行く前にお弁当も作らなければなりませんし、大慌てでした。


そして何度も、現地の学校やクリニックに拙い英語で手紙を書いて、それぞれ招聘を頂く事ができました。イギリス人はのんびりしていて、なかなか返事をくれないと聞いていましたがその通りでした。勤務先の許可が下りないと研修には行けません。
8月出発のところ、5月末にやっと招聘が届いて間に合いました。

夏、英語に強いボランティアさんと二人で、ケンブリッジ及びロンドン、ドイツのマインツの物理療法学校を訪問する事ができました。そのボランティアさんは海外生活が長く、飛行機の中もすっかり酔っぱらってしまわれました。


早朝、ヒースロー空港に着くと、ボランティアさんが荷物を取りに行って下さる間、私は一人で立って待っていました。1時間余りのその間に6人の外国人に声をかけられました。

3人の方は「何かお手伝いしましょうか」と、私が視覚障害者である事を判って声かけて下さいました。他の3人は「どこへ行くの」とか「一緒に行こう」と話しかけられました。私がまだ若く誘われやすかったのでしょうか。さすがヒースロー国際空港です。



イギリスには個人の研修旅行以外に、私が何人かのボランティアさんをお願いして、卒業生や友人を誘って旅行しました。イギリス、ベルギー、デンマークフィンランドの旅をしたのは、1995年の夏だと記憶しています。

その旅ではロンドン郊外にある大きなホスピスを訪問する事ができました。

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スイスから友人の親子も訪ねてきて下さり、ホスピスでの通訳をしてくれました。その時、高校生だったスイス人の子は今では日本に住み、大人になってからも体調を整えに鍼治療に通って来てくれています。

ホスピスは半日間の研修でしたが、癌末期になっても何をしても良い。
例えば肺がんの人がたばこが大好きで、たばこを廊下や庭で吸っている患者さんにお会いした事を覚えています。患者様が希望すればマッサージも鍼もやって良いのです。ホスピス内で自由に生活している様子を知る事ができました。


子供は絵を描いたり、折り紙を折ったりしていました。私たちもお土産に、折り鶴を数日で千羽折って、渡す事ができました。

ホスピスのスタッフは、ボランティアさんでも半年から1年、看護師さんは2年、医師は3年、勤めるための研修を受けなければならないそうです。なお喜ばしい事に、亡くなられた後のご家族へのケアーをずっと行うと聞きました。


2020年現在、日本のホスピスはほぼ1か月、やっとアフターケアも行えるようになったと聞いています。イギリスは、ひとりひとりを大事に考える施設が20世紀末にはあった訳です。アルコール依存症の病院も訪問しました。


すばらしい福祉国に何度か研修できて本当に良かったと思っています。