aikokimura’s diary

私は鍼師で視覚障害を持っております

たび「ニューヨーク③お世話になった方々 NYウエストチェスターの音楽」

マンハッタン島からウエストチェスターと呼ばれる地域は、17世紀にイギリス人がこの地に足をおろし、ニューヨーク州が出来ていったようです。

北緯43度、日本の札幌とまったく同じですから、空の色は、濃く、4月、6月、8月、9月、10月、11月初め、毎年私が訪ねた時はいつでも、東京の空の色より深く感じました。

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街の家々に門はなく、階段を上がればすぐに玄関ですが、とても広いです。治安が良いこの地域でも、鍵は三重にしてあり、時には留守をして一日いないと、あくる日に帰って見たら、家具すべてが無くなっていたという話も伺いました。

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私が歩いたのは路上のパーキングからレストランまでがほとんどなので、町並みは覚えていませんが、歩道は東京の銀座くらいの広さに感じました。車を降りてから15センチくらいでしょうか、必ず足を上げて歩道に乗る程の高さがあり、車椅子が走れるようにはなっていませんでした。

パーキングは歩道の横にたくさんあって、30分幾らという具合で、常に食事中もパーキングの時間が切れるかと気にしながら、レストランで食べる事も多いようです。もちろん専用の駐車場があれば、気にせずに居られます。私はほぼ予約したところへ連れて行って頂きましたが、レストラン街は数軒が並んでいますので、予約なしで入れる所もありました。


ニューヨークでお世話して下さった方々は、往復の飛行機代を出して治療に伺っていた私にご配慮して下さり、ハドソン川の畔にある、船の倉庫跡をジャズクラブにしたレストランに何度もご招待して下さいました。

 

軽い食事をしながら、ピアノとサックスと歌の、モダンジャズというのでしょうか。静かに聴かせて頂きました。私には、ジャズは若い頃に聴いた賑やかなイメージしかありませんでしたので、こんなに静かに聴けるジャズだったら好きですと申し上げました。夏は芝生の上のテーブルでベンチに腰掛け、食事をしながら、やや遠くから音楽を聴きました。

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また、クラシックのお好きなK様と『黒船』という山田耕筰のオペラを聴きに、メトロポリタン歌劇場へ伺いました。私は山田耕筰がオペラを作っているとは知りませんでしたが、そこでは「ニューヨークで日本人が洋服、アメリカ人は和服で『黒船』」を聴く」という姿がありました。

ベッリーニの『夢遊病の女』もまた、メトロポリタンの2階個室から聴かせて頂き、ナタリー・デセイのソプラノ、フアン・ディエゴ・フローレステノールの素晴らしい歌声に感動した事を覚えています。

カーネギーホールではボストン公共楽団、バレンボエム指揮、マーラーの2番をとても良い席で聴かせて頂きました。最後に全員がスタンディングオーベイションで「良いものは良い」と表現する外国人を、目の前で知らされました。

 

私が10数回ニューヨークに伺っている間に一番長く歩かせて頂いたのは、ロックフェラーの公園です。


「愛子先生、低い靴を持っていらしたかしら」K様が言われ、私はウォーキングシューズを履いて出かけました。

ロックフェラーの公園は自然そのままで、紙一枚落としてもいけない所です。トイレも経験のためにと入らせて頂きましたが、ここでしか使用しないペーパーを渡され、水栓ではなく、日本の山のトイレを素敵な洋式にした感じのものでした。

なにしろ、歩いていて、樹木の匂い、小鳥の声、風の静かな音しか聞こえないのです。
私とK様は、静かに話をしながらゆっくり歩きました。K様の毎日の散歩道だそうです。一時間ほど歩きましたが、どなたにもお会いしませんでした。
この公園では独自の牛や鶏を飼っていて、卵や農園の野菜も食べさせて下さるそうです。

たしか、マロニエとかアカシアとか椎の木とかが植わっていたと覚えています。ほぼ一本道で、土ばかり。周りは樹木、遠くにはハドソン川と、眼が見えたらもっと美しく感じた事と思います。


それでも10年ほどたった今も、あの静けさは思い出されます。

f:id:aikokimura:20220201194920j:plainありがたいひとときでした。